資料集

『戦後職業訓練関係資料集』《昭和20年~昭和33年》 (上・中・下)(調査研究資料第140号)が職業能力開発総合大学校基盤整備センターのホームページアップされました(3月20日) 。
上の「ホームページ」をクリックしてご覧下さい。
なお、恥ずかしながらミスが発見されています。センターでの正誤表は1年後に同じホームページにアップされるそうですが、とりあえず「田中版正誤表」を次にアップしています。
上巻田中正誤表
中巻田中正誤表
下巻田中正誤表
皆様におかれましても、これらの他に発見されましたらご教示下されば幸いです。

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『戦後職業訓練関係資料集』《昭和20年~昭和33年》(上・中・下)が皆様のご支援とご協力により職業能力開発総合大学校基盤整備センターより発行されました(2月20日)。「まえがき」と「目次」を次に転載します。


ま え が き

 本資料集の原案は、職業訓練大学校職業訓練研究センタ─において昭和54年と56年に刊行された『職業訓練関係資料集』(Ⅰ)<大正6年~昭和12年>、及び(Ⅱ)<昭和13年~昭和16年>(上・下)の編集者である故佐々木輝雄教授の遺作となった「戦後職業訓練関係年表」である。戦後も既に75年を超え、当時の資料の散逸、亡失が進んでいる。現段階において収集可能で、当時の職業訓練の全体像が分かるように重要な資料を本資料集にまとめた。
 本資料集によって戦後の職業訓練の実情を解明する意味は、現下の「職業能力開発促進法」においても中核は職業訓練であり、この業務を困難な状況の下で日々真摯に取り組んでおられる方々が、本資料集で明らかにする過去の活動を知り、学ぶことによって今日の業務への誇りと、明日の仕事への自負を持って戴くことができるかも知れないと考えるところにある。
 また社会的には、職業訓練は社会問題、労働問題、あるいは教育問題と密接な関連があり、それらの要点との歴史的関係を明確にするための課題に応えようとするものである。戦後の職業訓練は上記のような様々な学問によっても研究されてきたが、それらはあくまでもその学問領域の論理によって整理されているのであり、職業訓練の立場から職業訓練の実態と職業訓練を取り巻く諸問題を総合的・俯瞰的に考察するときの職業訓練の独自の意義とは言えないと考える。換言すれば、佐々木教授が「職業訓練の現実は産業経済、労働、教育、社会福祉政策の……緊張・対立関係の中にある」、と述べたことの証拠の提示だといえよう。
 例えば、近年SDGsが推進されているが、その目標8の「働きがいも経済成長も」は、まさに職業訓練の目的であり、一貫して追及してきた課題であることが分かる。さらに、目標4の「質の高い教育をみんなに」の日本語のタイトルでは見落とされるが、「教育」の原語である"Education"の概念は「教育」と言うよりも「能力開発」"developing the powers"の意味であり、その4の下位目標にある「働きがいのある職業につながる技術を身につける機会を得ること」は、誰もが頷くように正に職業訓練の課題であったと言えるからである。
 また、昨年から進められている〝リスキリング〟は、これを訳せば「技能化」と言えるが、その目標の多くは本資料集で明らかなように戦後の困難な時期に職業訓練によって模索されていた。これらのことを明確にするためには、先人が施策・実践した職業訓練の遺産を掘り起こさねばならない。このことによってSDGsやリスキリングの重要な課題を職業訓練が担ってきた事業であることが明らかとなる。
 その中には、国民一丸となって戦後復興を果たしてきた一翼である職業訓練の実践から見落とされた意義があり、それは今日の状況を打開する時のヒントを与えてくれるかも知れないと考える。
 かてて加えて、本資料集がわが国の戦後史研究を更に深めるための素材になれば幸いと考える。それは、岩手県が〝労働文化の発祥は職業補導から〟と提起した(昭和24年3月)ように、職業訓練が文化としてわが国でも議論されて欲しいとの期待があるためである。
 なお、本資料集は、佐々木教授の年表を原案として資料を収集し、その後発掘した資料も追加している。本資料集には未だ不備、欠落があると思われるが、それは後学者に補遺を託したい。
 最後に、谷口雄治名誉教授にはGHQ資料"Labor Division Manual"『労働課便覧』の翻訳にご協力戴いた。その他、ご氏名を挙げないが資料収集のためにご協力戴いた少なくない研究者、及び東京商工会議所、日本商工会議所、雇用問題研究会、法政大学大原社会問題研究所図書室、明治大学図書館、東京大学社会科学研究所図書室、労働政策研究機構図書室、そして各地の国公立図書館・公文書館に大変お世話になった事に篤く御礼申し上げます。

二〇二三年一〇月             田中 萬年


  目  次

 序
 まえがき ……………………………………………………………… ⑴
 凡  例 ……………………………………………………………… ⑶
 解  説 ……………………………………………………………… ⑸
  上巻資料目次 …………………………………………………… (24)
第Ⅰ編 GHQ勧告・「日本国憲法」関連資料編 ………………… 1
第Ⅱ編 閣議・次官会議決定、審議会答申、民間団体建議編 ……33
第Ⅲ編 行政組織編 ………………………………………………… 137 
第Ⅳ編 法令編
 Ⅳ1部 一般労務・職業指導関係 …………………………………199
 Ⅳ2部 公共職業補導関係 ……………………………………… 213 
 Ⅳ3部 技能者養成関係 …………………………………………… 225
 Ⅳ4部 監督者訓練関係 …………………………………………… 298 
 Ⅳ5部 「職業訓練法」関係 ………………………………………304

 (以下中巻)
  中巻資料目次 ………………………………………………… (1)
第Ⅴ編 通牒・通達編
 Ⅴ1部 一般労務・職業指導関係 ……………………………… 1
 Ⅴ2部 公共職業補導関係 ……………………………………… 67
 Ⅴ3部 技能者養成関係 ………………………………………… 242
 Ⅴ4部 監督者訓練関係 ………………………………………… 327

 (以下下巻)
  下巻資料目次 ……………………………………………… (1)
第Ⅵ編 国際的宣言・勧告編 ……………………………………… 1
第Ⅶ編 統計編
 Ⅶ1部 一般労務・学校教育関係 …………………………… 33
 Ⅶ2部 公共職業補導関係 ……………………………………… 35
 Ⅶ3部 技能者養成関係 ………………………………………… 58
 Ⅶ4部 監督者訓練関係 ………………………………………… 68
戦後職業訓練関係年表 ……………………………………………… 75
 資料索引 …………………………………………………………  110

 本資料集は、春には基盤整備センターのホームページにアップされ、どなたでもダウンロードできるようになるそうです。また、ミスが発見されましたら、同様に適宜アップされます。
 ご講読下さり、ご意見等を戴ければ幸いです。